ホアキン・トゥリーナ・ペレス( Joaquín Turina Pérez)
1882年12月9日-1949年1月14日。
スペインの作曲家であり、セビーリャで生まれました。彼はスペイン音楽の重要な作曲家の一人であり、その作品はスペインの音楽文化に大きな影響を与えました。
1882年12月9日-1949年1月14日。
スペインの作曲家であり、セビーリャで生まれました。彼はスペイン音楽の重要な作曲家の一人であり、その作品はスペインの音楽文化に大きな影響を与えました。
トゥリーナの作品の多くは、伝統的なアンダルシアの民俗音楽に影響されています。19世紀末から20世紀初頭のスペインの作曲家は、おおむね特定の創作ジャンルに偏っていましたが、トゥリーナはほぼすべてのジャンルを網羅し、また教育者や理論的な著作家としても活躍しました。
彼の作曲の引き出しの豊富さは特筆すべき事でしょう。
また非政治的な姿勢から、フランコ政権※とも妥協したため、彼の死後は一時的にタブー視されることもありましたが、最近では演奏界を中心に、国際的な再評価が進んでいます。
『フランコ政権とは』
フランシスコ・フランコ将軍によって独裁的に統治されたスペインの政権。1939年から1975年までスペインを支配し、その間に権威主義的な政策を実施。フランコ政権は反対派の抑圧や言論の統制などを行い、その影響は彼の死後も長く残りました。
さて、トゥリーナが作曲したギター曲は大きく分けて5曲。
セビリャーナ Sevilliana 作品29(1923年)
ファンダンギーリョ Fandanguillo 作品36(1925年)
ラファガ Ráfaga 作品53(1930年)
ソナタ ニ短調 作品61(1932年)
スペインの大ギタリストのアンドレス・セゴビア(Andrés Segovia)と親交が深かったことで知られています。トゥリーナはセゴビアのために優れたギター曲を作曲し、彼の演奏レパートリーを充実させました。
セゴビアもトゥリーナの作品を積極的に演奏し、彼の音楽の普及に貢献しました。
その結果、現代においてもトゥリーナの音楽はギターのレパートリーにおいて重要な位置を占めるようになりました。
例えばギターの事をよく知らない作曲家がギター曲を作曲するにあたり演奏困難な音使い(押さえられない音や指が届かない等)が発生したりという事は少なからず起こってきた事だと思います。
セビリア幻想曲(セビリャーナ)の作曲の際にもまさにそのような心配があっただろうし彼の初ギター作品誕生の際にもさぞかし困難な事だっただろうな…
では第1作目のギター曲の冒頭をみてみましょう(画像参照)
下からラレソシミ…
全部ギターの開放弦やないか!
おまけにスペイン的な感じを出す為かラスゲアード(爪の裏も使用して弦をかき鳴らす奏法)から始まっちゃってます。
ギター弾きからすると
『いいの!?いんだねやっちゃって?』
といった謎のお得感すら湧いてきます。
何調⁈
この際何調でもいい!心置きなくぶっ放して仕舞えば良いのだ。
当時10代の私はこんな事ばかり考えておりました。
ラスゲアードに始まり和声を帯びたと思ったらまたすぐに調性を失いいつまで経っても自分が今どこの調にいるかわからなくなります…不安です…
ラスゲアードの最中には短調の音階が登場しますが、これも普通ではありません。
フリギア音階というものです。しかも短音階。
フリギアンマイナースケールです。攻撃的な印象です。
中盤になると実にオーケストレーションされ立体感を帯び、沢山の斬新な響きに魅了され、ソレアやカンテといったスペインを象徴する伝統的かつ6分程度の壮大かつ小さな物語に圧倒されます。
中でも彼の作品に多い5度の音程跳躍が口説い程に登場し演奏者と聴集の胸を時折り熱くさせます。
構成としてはごく簡単にまとめるとA-B-C-B-Aといった構成になっておりラスゲアードに始まりラスゲアードに終わるという曲全体を通してみると構築感も念入りに計算されシンメトリーでできており実に巧妙な曲でした。
もちろん私がこの曲にトライしたころはセゴビア版しか入手出来ずにいてセゴビア版で演奏しましたが、そのアレンジにはセゴビアのアイデアも沢山垣間見る事が出来て非常にバランスの良い名レパートリーだと確信しています。
ギタリスト仲間との会話では
【不思議と聴いてるより弾いてる方が楽しい曲】
としてしばしば語る事もあります。
他にもギターの開放弦を利用した名曲はいくつかあり
F.プーランク『サラバンデ』
A.ホセ『ギターソナタ』
A.ヒナステラ『ギターソナタ』等が挙げられます。
実はギターの開放弦ミラレソシミという不協和音は人の心を魅了する秘めたる魔性の和音なのでは。。。
兎に角。
ホアキン・トゥリーナ…斬新です。
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